ボブよぉ。元気か。
最近ぐずついた天候が続くよな。
メールありがとう。俺は元気だから、そんなに何十回も凝った
顔文字を送ってこなくてもいいぞ。
俺はただ返事しないだけさ。返事なんて、プールに落ちた天ぷ
らだ。衣が剥がれて流れ出すのを、俺はじっと見つめるだけ。
それだけの事。
俺は今日から風呂に入らない。
その代わり今日のような日にはシャンプーのボトルを握って外に飛び出そう。
俺は今日からペットボトルを買わない。
その代わり公民館に行ったら無料のお茶をスポンジにたっぷり浸み込ませて帰ろう。
俺は今日から暖をとらない。
その代わり大きなレンズを陽に向かって掲げ、その焦点にうずくまろう。
俺は今日から官能的なビデオを借りない。
その代わり自分の体毛を全部剃って神社に寄進しよう。
・・・・・・。
あの日、朝出勤すると沈痛な面持ちで社長が革の椅子に座っていて、察してくれとばかりに眼を腫らしながらこう言った。
「・・・わかってると思うけど、今日で終わりにしてくれ。」
彼は急に大人になって戸惑っているトム・ハンクスのような表情を浮かべて、
「わかってくれ、俺ももう役員会で君をかばえないところまで
来ているんだっ!」
と俺を見上げるように言った。
ボブ、俺が泣いたのかって?そうかもしれないし、そうでなかったかもしれない。
ただ覚えているのは、その瞬間俺の頭の中に無数のムササビが宙を飛んで、そして彼は髭をさすりながら驚くべきことを口にしたことだけ。
「・・・もう少しやってくれると思ってたのにな。」
そして、俺に私物の即時持ち帰りを指示した。
ボブ、君は哀しくなったら笛を吹くのかい?それともおしろいを塗りたくるのかい?
教えてくれボブ、俺はこれから・・・。